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義務教育の「義務」とは何への義務か(前編)

中学生の7人に1人が不登校

■不登校の原因をさぐる

 とはいえ、どうしてこれほど多くの生徒が、学校に行きたがらないのか。

 まず注目されるのは、13.3%という不登校(傾向)の数字が、子どもの貧困率(2015年で13.9%)とほぼ同じこと。

 

 案の定、不登校と貧困には関連性が見出せます。

 親が就学援助費を受給している者の比率は、不登校(傾向)のない生徒では
8%ですが、不登校の生徒では29.3%。

 不登校傾向の生徒でも、不登校二型は19.9%ですし、一番低い仮面登校Bですら15.2%と、二倍近い数字になっています。

 親が生活保護を受けている者の比率は、不登校(傾向)のない生徒で0.4%なのにたいし、不登校の生徒では7.5%。

 ほぼ19倍です。不登校二型では6.7%、教室外登校・部分登校・仮面登校A(※)でも2.8%となっていました。

(※)財団の発表した資料では、この三者がひとまとめになっています。両方に当てはまる家庭もあると思いますので、単純に数字を足すわけにはゆかないものの、不登校(傾向)の生徒に貧しい家庭の子が多いのは明らかでしょう。

 しかし、もっと注目すべきはここから。

 不登校(傾向)の生徒に見られる最大の特徴は、貧困ではないのです。

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佐藤 健志

さとう けんじ

評論家・作家

 1966年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。

 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。

 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。

 主著に『感染の令和』(KKベストセラーズ)、『平和主義は貧困への道』(同)、『右の売国、左の亡国 2020sファイナルカット』(経営科学出版)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)など。共著に『新自由主義と脱成長をもうやめる』(東洋経済新報社)、『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』(VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。

 2019年いらい、経営科学出版でオンライン講座を制作・配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻、『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻、『佐藤健志の2025ニッポン終焉 新自由主義と主権喪失からの脱却』全3巻を経て、最新シリーズ『経世済民の作劇術』に至る。2021年〜2022年には、オンライン読書会『READ INTO GOLD〜黄金の知的体験』も同社により開催された。

 

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